吾輩は猫である

地球温暖化が進んでいます。宇宙船地球号は持続できるのでしょうか。日本の平和憲法も危機にさらされています。地球温暖化防止、守ろう憲法9条・生かそう憲法25条を訴えます。

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賢治からの伝言~報復することなかれ~

 宮沢賢治のこころ暖まる童話の数々の一つに、「二十六夜」というはなしがあります。
北上川のほとりの台地の松林にある梟(ふくろう)の集落の物語です。
                  「二十六夜」本文はこちらから

 イスラエルとパレスチナ双方による暴力による報復の繰り返しが続いています。9・11同時多発テロに対してアメリカは暴力による報復でアフガン戦争、イラク戦争へと突入しました。このアメリカ対して、テロ勢力は暴力による報復を繰り返すという出口の見えない事態が続いています。

 宮沢賢治は、「二十六夜」の中で、「報復は暴力の連鎖を生む」、だから「報復することなかれ」とお坊さんに説かせています。現代社会の中で続く報復の繰り返し、暴力の応酬に対し、平和への出口の方向を私たちに伝言しているように思うのです。


 「二十六夜」のあらすじとクライマックスの場面です。

 六月二十四日の晩、フクロウのお坊さんが唱える説教に、フクロウたちはみなしーんと聴きいっています。内容は疾翔大力という菩薩がフクロウやとびなど肉食の鳥の難苦解脱を説くお経です。

 六月二十五日に事件が起きます。お坊さんの説教も熱心に聴く、穂吉というフクロウの子どもが、人間の子どもたち捕らえられてしまうのです。フクロウたちは、火のついたように泣く穂吉の母親の回りで、心配したり、慰めたりしています。

 六月二十六日の晩、クライマックスです。穂吉は、遊びにあきた人間の子どもに二本の足を折られて放たれたのです。足を折られて飛ぶことも出来ず、萱原の中に落ちて泣いている穂吉は、夜になってようやく助け出されました。

<フクロウたちの人間に対する怒りの声です。>
「あんまりひどいやつらだ。こっちは何一つ向うの為に悪いようなことをしないんだ。それをこんなことをして、よこす。もうだまってはいられない。何かし返ししてやろう。」一疋の若い梟が高く云いました。すぐ隣のが答えました。
「火をつけようじゃないか。今度屑焼きのある晩に燃えてる長い藁を、一本あの屋根までくわいて来よう。なあに十本も二十本も運んでいるうちにはどれかすぐ燃えつくよ。けれども火事で焼けるのはあんまり楽だ。何かも少しひどいことがないだろうか。」
 又その隣りが答えました。
「戸のあいてる時をねらって赤子の頭を突いてやれ。畜生め。」

<フクロウのお坊さんは報復はならん、報復は代々まで暴力連鎖を生む、と説きます>
 梟の坊さんは、じっとみんなの云うのを聴いていましたがこの時しずかに云いました。
「いやいや、みなの衆、それはいかぬじゃ。これほど手ひどい事なれば、必らず仇を返したいはもちろんの事ながら、それでは血で血を洗うのじゃ。こなたの胸が霽れるときは、かなたの心は燃えるのじゃ。いつかはまたもっと手ひどく仇を受けるじゃ、この身終って次の生まで、その妄執は絶えぬのじゃ。遂には共に修羅に入り闘諍しばらくもひまはないじゃ。必らずともにさようのたくみはならぬぞや。」

<そして南無疾翔大力のお経をあげるように言います。フクロウたちは一斉に経をあげます。そして次の場面で物語は終わるのです。>
「南無疾翔大力、南無疾翔大力。」
 みんなは高く叫びました。その声は林をとどろかしました。雲がいよいよ近くなり、捨身菩薩のおからだは、十丈ばかりに見えそのかがやく左手がこっちへ招くように伸びたと思うと、俄に何とも云えないいいかおりがそこらいちめんにして、もうその紫の雲も疾翔大力の姿も見えませんでした。ただその澄み切った桔梗いろの空にさっきの黄金いろの二十六夜のお月さまが、しずかにかかっているばかりでした。
「おや、穂吉さん、息つかなくなったよ。」俄に穂吉の兄弟が高く叫びました。
 ほんとうに穂吉はもう冷たくなって少し口をあき、かすかにわらったまま、息がなくなっていました。そして汽車の音がまた聞えて来ました。


「報復することなかれ」「暴力の連鎖を絶とう」という訴えは、現在にもあります。
 
 9・11テロで夫を失った女性の「米国は不必要な殺人をこれ以上しないでください。親族を失った我々の悲しみは、戦争を願う叫びではないのです」という訴えや、娘を亡くした父親の「私の娘を含めテロ犠牲者の名前を使い、戦争で人を殺すのはやめてほしい」という声です。

 そして今日、朝日新聞に次のような記事が掲載されました。

 イスラエル軍に息子を誤って殺されたにもかかわらず、息子の臓器をユダヤ人に提供したパレスチナ人の両親は「平和の願いが伝わってほしい」と祈り続けている。イスラエルに対する抵抗闘争(第2次インティファーダ)が5年前に始まってから、アラブ系の間ではユダヤ人への臓器提供を拒否する傾向が出ていた。両親は「息子の臓器を受けたユダヤ人は人を殺しはしない」と語った。

 本当に頭のさがる感動的なはなしです。一日も早くイスラエルとパレスチナによる暴力の連鎖が絶たれることを願わずにはいられません。
 賢治からの伝言です。
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テーマ:思うこと - ジャンル:小説・文学

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