吾輩は猫である

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「雪渡り」~狐や狸は人を化かさない

 虚偽・虚飾・虚業・虚構……。拝金主義を根底に引き起こされ、いま世間を騒がせている、マンション・ホテルの耐震偽造問題、そしてホリエモン・ライブドア問題を語るキーワードでしょうか。
 これらの問題を見聞きし、そして、これらに対する「独善魔」コイズミと、腰巾着のタケベ幹事長、無経済学者タケナカ大臣などの人を愚弄するような詭弁を聞いていると、怒りを通り越して本当に空虚な気持ちにさせられます。

 そんな気持ちを、一時期でも癒しほっとさせてくれるのが宮沢賢治の童話です。今日は、人の子ども四郎と、かん子と、小狐紺三郎の心あたたまる交流を描いた「雪渡り」という童話を紹介したいと思います。
      実にリズム感があって楽しい「雪渡り」本文が読めます。

 昔話では、どういうわけか狐や狸に人が化かされる話が多いですが。しかし、そんな目で狐や狸を見てきたのは人間の方で、狐や狸にしてみればずいぶん迷惑なことでしょう。(人間を化かすのは人間、狐や狸は化かさない)賢治はそう感じる人だったようです。「雪渡り」はそういう想いが語られた童話です。

 季節はちょど今の時期です。降雪の後のよく晴れた日の野原に、四郎とかん子が遊びにでかけました。小さな雪沓が雪を踏む「キックキックキック」という音、そして「堅雪かんこ、しみ雪しんこ」という二人のはやし言葉が物語全体に響いていています。このリズムから2人の浮きたつような気持ちがおのずと伝わってくるんですよね。このリズムにつられるようにして、狐の子の紺三郎が森から姿を現し、2人と紺三郎のかけあいが始まります。

 「四郎はしんこ、かん子はかんこ、黍(きび)の団子をおれやろか。」狐の子が歌うと、かん子が小さな声で「狐こんこん狐の子、狐の団子は兎(うさ)のくそ。」と歌いかえします。それを聞いて子狐の紺三郎は笑いながらいいます。「いヽえ、決してそんなことはありません。…私らは全体いままで人をだますなんてあんまりむじつの罪をきせられてゐたのです。」
  四郎は驚いて「そいぢゃきつねが人をだますなんて偽(うそ)かしら。」と尋ねます。すると紺三郎は「偽ですとも。けだし最もひどい偽です。だまされたといふ人は大抵お酒に酔ったり、臆病でくるくるした人です。…」と熱心に説きました。

 こんな具合に四郎とかん子と子狐が友達になり、2人は狐の子供たちの幻灯会に招かれました。
 幻灯会の休憩時間になって狐の女の子が2人に黍団子(きびだんご)をのせたお皿をもってきてくれます。2人はちょっと迷ってから、「紺三郎さんが僕らを欺(だま)すなんて思はないよ。」と食べてみるのです。すると、とてもおいしいのでした。まわりで、食べるかどうかじっと見ていた狐の子たちは、みな信じてもらえたことを喜んで踊りだしました。

 狐や狸は人を化かさない。悪い人間が人間を………。賢治からの伝言です。

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